09 TOKYO

新天地はTOKYO

サッカーで大学に進学したが、勉学に励みたいと告げると退学。路頭に迷った僕はアルバイトをしながら独学で英語を勉強した。しかし、今まで勉強というものをしなかったせいか、上達の兆しはなかった。

 

それでもなお、海外への憧れは消えることなく、いつになくやる気に満ち溢れていた。

 

高校3年の時、進路相談でアメリカと担任に言ったのを今でも覚えている。担任がバカなことを言うなと言ったことも覚えている。それに大学でのこともあり、

 

自分の夢は自分で切り開く

 

これしかないと思った。しかし海外へ行く資金も能力もなかったが、可能性を信じた。

 

Google先生で留学などと調べていると

 

インドネシア政府奨学金

 

これだと確信して願書を出した。

 

 

08 ナジーム・ハメド

退部し、進路も決まったので、趣味のボクシングをやっていた。格闘技が昔から好きで家系も格闘技系。特にボクシングのナジーハメドという選手には度肝を抜かれた。相手をあざ笑うようなスタイル。ガードなしでも相手はパンチを与えることができず、ハメドは相手の隙を見逃さない。プロを目指していたわけではないが、すごく好きだった。

 

ジムにはGreendayのAmerican idiot、Jesus of subrbiaといった僕の好きな音楽が流れ、すごく楽しめた。

 

そういえば、タカは熱狂的なはじめの一歩のファンで全部持っていた。彼はよくブライアンホークの話をしていた。タカは筋肉質なせいか一歩のような体をしていた。バキバキだった。

 

タカにボクシングジムの話をするとまた一歩の話だ。

 

そんなこんなで僕は高校を卒業し、新天地へ移る。

07 不完全燃焼

リーグ戦も2位と圧倒的差をつけ、ぶっちぎり1位。横に出るものはいなかった。がしかし、対策を練られることが多くなってきた。僕も足首の靭帯断裂に加え、細かな怪我が目に止まっていた。

 

冬の大会を迎え、初戦のメンバー発表。

 

10番〇〇 11番〇〇 13番〇〇 .......

 

いつもの番号で自分の名前が呼ばれない。そう僕はメンバーから外された。頭の中は真っ白。呆然と立ち尽くした。メンバー外は応援練習の準備の中、僕はひとり寮へ帰った。

 

勝てば次戦メンバーの入れ替えは可能なのだが、僕のプライドかなんなのかわからないが、その日退部した。

 

冬の大一番でもチームは全国には届かず敗退。高校部活動の終止符を打つ。

 

大会期間中、監督に呼ばれ、メンバーから外した理由などを聞かされたが、心には響かず。

 

聞き流した。

 

 

06 Last year

猛将に喝を入れられているうちにすぐに3年目を迎えた。これが高校生活の集大成を飾る年だ。

 

終わり良ければすべて良し。

 

そう心のどこかで思いながら3年目を迎えた。転機は突然やってきた。一気にトップチームへの昇格だ。

 

練習試合やリーグ戦で結果を残し、トップチームで留まった。強豪校ゆえに3年間試合に出られない選手もいる中なんとか僕は留まった。

 

そして、夏の大会メンバーに入り、大会中、主力は尽くすもチームは敗退。

 

全国への切符は冬までお預けとなった。

05 猛将

そんな中2年目を迎えると同時にある人物と出会う。

 

猛将だ。

 

猛将は新しく外部からのコーチで一番下のチームすなわち僕たちの指揮をとることになった。

名前の通り、猛将。戦術などなく気合いが作戦のような人であった。はじめから猛将は僕のことを気にかけてくれており、よく怒られもした。猛将もタカと同じことを僕に言う、真面目にやれと。

 

この猛将は次々に格上のチームを紅白戦で倒し、僕たちにできることをやらせた。

 

猛将の下で、怒られながらも確実に自分の欠点を少しずつ見つめ直していたような気がしていた。

 

時間が流れ、ようやく3年目を迎える。

04 文武両道

新天地ではじめて友達になった彼はまさに文武両道という言葉がふさわしい。彼の名前はタカ。部の中でもトップチームにいたしクラスで成績優秀。そんなタカもはじめは僕を非難していた。後々、訪ねてはみたのだが、やはり目立っていたということだ。いきなり部外者が人の領土に入りその上目立っているともなると、槍が飛んでくる。当然のことだ。

 

タカが僕を非難していたのも少し納得がいく。でもタカは僕に話しかけてきてくれた。なぜなら、周りが湘南乃風などに没頭している中、僕はエミネムやブルーノマーズなどの洋楽を食い入るように聞いていた。幼い頃から海外のことが好きで日本のカルチャーはイマイチだった。

 

休み時間に一人机に座ってモンスタービーツのヘッドフォンで洋楽を聞く。タカはそんな僕が気になったらしい。当時誰一人モンスタービーツはおろか、ヘッドフォンユーザーも高校生の僕の周りにはいなかった。

 

そんなこんなで、僕とタカはよく話をし仲良くなったのだ。

03 完全アウェイ

単身で県外の高校にスポーツで乗り込んだとはいえ、ムードは完全アウェイ知り合いも誰一人としていなく孤独だった。しかもそれに加え、同じクラスの部員からチクられることが多く、入学前の監督やコーチの評判もガタ落ち。昼休みに教官室の横で窓拭きをやらされることも少なくなかった。

 

落ちるところまで落ちた。部の中でも一番下のチームだ。

 

しかし、いま振り返ると自分の過ちも多数あり、素行が悪かったように思える。特にサッカーをしている時など。

 

1年目は負のループからなかなか抜け出すことはできなかった。そんな中、1人だけよく慕ってくれる友達ができた。彼はまさに文武両道という男であった。そして彼は、寮生活をしている僕にとても親しくしてくれていた。いつも彼は真面目にやるだけだと僕を感化してくれたが、謎に僕はあまり耳を傾けることはなかった。

 

高校1年の時に新天地でできた、親友。

僕はその時、彼とは長い付き合いになることを確信した。